
Quake
Buy GameNods to Mods インタビュー: 「Underdark Overbright & Copper」
Quake
Buy Gameスリップゲートへの報告 – 『Quake』の新アドオンが登場!伝説のFPSの新版に、8ステージを追加する人気Mod「Underdark Overbright」が追加されました。「アドオン」メニューからダウンロードして、今すぐお楽しみいただけます。また、このアドオンには、オリジナル版のシステムに調整を加えて遊びやすくする「Copper」も付属します。
今回の記事では「Underdark Overbright & Copper」の開発秘話を探るべく、アドオン制作者であるMatthew “Lunaran” BreitとSean “Scampie” Campbellにインタビューを行いました。
今回はインタビューを受けていただきありがとうございます!まずは自己紹介をお願いします。
Matthew Breit(以下、MB):Matthew Breitです。コミュニティでは、特に理由はないんですがLunaranという名前で活動しています。出身はシカゴのあたりです。Raven Softwareの『Quake 4』チームにレベルデザイナーとして採用されたことで、ゲーム業界に携わるようになりました。その後もUnknown Worldsの『Natural Selection 2』やDavey Wredenの『The Beginner's Guide』など、さまざまなゲームに環境アーティストとして参加しています。今は霧がかった魔法使いの森に住んでいます。
Sean Campbell(以下、SC):はじめまして!私はSean Campbellで、『Quake』コミュニティではScampieという名前で活動しています。ロン毛の39才で、今はメイン州の凍えるような森に住んでいます。ゲームのパッケージに書かれた年齢制限の警告にドキドキしていた子供時代から、何らかの形で『Quake』のレベルデザインに関わっています。
これまで関わった中で有名なMODとしては、『Quake 3』の「Head Hunters 3」や『Quake』の「Arcane Dimensions」などがあります。プロのレベルデザイナーとして仕事をしたのは2000年代にRaven SoftwareでMarvel Comicsのゲームに関わったのが最初で、今はほぼ無名のインディーゲーム開発者として働いています。あと、クッキー作りが趣味です。
『Quake』のMODとステージ制作を始めてからどれくらいになりますか?
SC:1997年からですね。今でも残っている中で一番古いマップは、全ての照明をネオングリーンにした『Quake 2』のマップだと思います。当時のScamipe少年は、それが面白いと思ったようです。
MB:私が始めたのも90年代後半で、当時はほとんどゼロからスタートするのにぴったりな時代でした。その頃から『DOOM』のステージをトレースして、その中を実際に歩き回るという遊びに夢中だったんです。当時は、次に遊ぶゲームはもっと凄くて、やれることも増えるのが当たり前だと思っていましたし、それはMOD作りが好きな“自分”ももっと凄いことができるということだったんです。
7ステージという大作ですが、これは何人のチームで制作していますか?
MB:最初は私とshrimpsterで制作し、Michael Markieからオリジナルの楽曲を提供してもらいました。しばらくは私個人のプロジェクトに過ぎなかったのですが、Seanが私の頭でまとまらないデザインをあっという間に形にしてくれたり、私のダメな案を容赦なく却下してくれるので助かっています。また、UDOB7として使えるほぼ完成済みのステージも用意してくれたうえに、めんどくさがった私が「ボスマップのサブエリアが欲しい」とお願いしたら、なんとUDOB5まで作ってくれたんです。

「Underdark Overbright」の制作には、どんなツールソフトを使いましたか?
MB:私が『Quake』向けにマップを制作する際は、id Softwareのオリジナルである「QuakEd」をWin32に移植した自作エディタを使用しています。これは『Quake』だけをサポートする「QERadiant」の亜種みたいなもので、かなり変わった点だと思います。この移植ツールは、あの素晴らしい「TrenchBroom」が世に出る前、「Radiant」で『Quake 1』のサポートが微妙だった頃から使っていて、本当に手放せません。
はっきり言って最高のツールだと思います。ある機能が欲しいと思ったら、「Visual Studio」でその機能を組み込みます。その後エディタに戻れば、作っていたマップを使ってテストし、バグを見つけることができます。この作業を気晴らしにずっとやることもあるくらいです。アドオンのステージはどれもオリジナルのコマンドラインツールでは絶対にコンパイルできなかったでしょうから、EricW、Tyrann、Aguirreといった方々が何年もかけてブラッシュアップしてくれたことには感謝しかありません。また、「Copper」の開発には、Spikeの高度なQuakeCコンパイラである「FTEQCC」の力も借りました。このどれが欠けても、『Quake』のMOD制作はあり得ないと思います。
SC:私は信じられないくらい大昔のエディタ「GTKRadiant 1.5」を今でも使っていて、他にも、EricWがメンテナンスしている最高最新のコンパイルツール、「TexMex」や「PakExplorer」といった昔のユーティリティプログラムもあれこれ使っています。昔のツールが最近のマシンでも使えるというのは、正直言って驚いていますね。

新しいアドオンでは主に何からインスピレーションを得ましたか?
MB:『DOOM』のマップ制作コミュニティでは、「Sunlust」のような非常にテクニカルで難易度の高いステージパックがたくさん作られていて、それが『Quake』にはなさそうでうらやましく感じていました。私はずっと昔から、興味を引くような世界観やテーマを考え、それを探索するのが楽しいと感じるように構築し、プレイはオマケのようにモンスターやアイテムを追加するというスタイルでした。
ライトマッピングでフル3Dのステージを構築できるということは、(中略)ステージ自体をひとつのキャラクターとして捉え、それ以外を二の次にするという方向に自然と流されてしまうように思えます。まずはゲームプレイの観点からマップを制作してみることで、より制作者の色を出し、隣で遊んでいるように感じられるステージを作ろうという気になりました。デスマッチを一人プレイ向けにリメイクするのはどうか?「Honey」のロケットボタンを使ったChthonとのバトルはどうか? そういう風に考えました。


SC:Lunaranとは、ずっと昔から『Quake』を楽しみ、以前からリアルでもオンラインでも一緒に仕事をする仲です。そんな相棒ともいえる彼のプロジェクトを手伝うのが一番のモチベーションでしたね!
Lunaranは、『Quake 3』のマップ「Q3DM6: Campgrounds」をシングルプレイヤー用に作り変えて、後の「Copper」のたたき台にしたいと早くから考えていました。その頃、私も『Quake 3』のマップを独自にアレンジしようとしていたので(結局、私は「Q3DM2: House of Pain」を選びましたが)、彼のアイデアにはかなりグッときましたね。その後、ほとんどのマップは、シャワー中のようなふとした瞬間に思いついたり、締め切り前の修羅場で完成させました。良質なホラー作品は、そうやって生まれるのではないでしょうか。
このアドオン完成までに費やした時間を教えてください。
MB:Discordのログを見ると、「昨日寝ようと思ったら、“q1spのq3dm6アレンジを作りなさい”って小さい天使からお告げがあった」と私がScampieに言ったのが2018年6月21日で、MODとエピソードのバージョン1.0をリリースしたのがその364日後でした。スタートマップやエンドマップを含めて、ひとつのマップを作るのにだいたい1ヵ月ほどかかりましたね。
SC:UDOB7.bspは、このエピソードに取り組んでいた約1年間の空き時間を利用して作りました。その間に他のマップも作っていたのですが、結局形にはなりませんでした。UDOB5.bspは、たくさんのマップの簡単な見取り図を組み合わせてブラッシュアップしたものなので、1ヵ月くらいでしょうか?UDOB8.bspはあくまで暇つぶし用のプロジェクトで、そのリミックスはリリース後にLunaranに仕掛けたエイプリルフールのジョークでした。

「Copper」MODのソース移植について教えてください。移植はどのように思いついたのでしょうか。また、このMODで『Quake』はどう変わるのでしょうか?
MB:ずっと前からシングルプレイヤー用のエピソード「LunSP2」を別に作っていたのですが(これはあと何年かかるか分かりません)、オリジナルのモンスターを追加したり、QOL機能でマップ制作者へのサポートを強化する過程で、同じ目的でシステムを微調整したくなってたまらなくなったんです。
「LunSP2」では、そのような微調整に向けて効果的な学習をする時間を取ったり、まったく新しいことを教えたりするといった余計な責任を負わせたくなかったので、この点についてはずっと触れずにいました。結局、「LunSP2」以外の『Quake』プロジェクトに取り組みたい、始めて趣味で作ったときのような気持ちで思いつくままに楽しくマップを作りたい、でもシステムの改善面をほったらかしにはしたくない… そういった理由で、それらを独自のコードベースに分離させました。
この時点で、プレイ面の調整をして構わないと自分で決めたのですが、ダムの陰でどれだけ多くの調整を積み重ねてきたのか、すぐに気づきました。思い付きで作ったマップが全てのたたき台になり、やがてそれらをさりげなく匂わせるショーケースになりました。
SC:私は、このMODの制作については一応参加しているくらいの立場です。役目としては、Lunaranの応援役、リアクション係、テスターとして、彼のアイデアと、ゲームとしての『Quake』を改善し、他の制作者がもっと多くの『Quake』MODを作り続けるための拡張ツールとなる必要最低限のMODの計画について意見を出すことでした。
例えば、こういう変更があります。私たちは、Perforatorから撃ち出されるネイルを1発ではなく2発にしました。また、通常のNailgunでは、1秒間に正確に“1996”本が発射されるよう発射速度を上げています。Lunaranは、こういった変更の裏にある「なぜ」の正当性をきちんと説明してくれますが、私はというと、いっぱいネイルを撃つ方が楽しいし、何かの速度をジョークの数値にこっそり設定するのも面白い、というのが最も重要な理由でした。『Quake』は楽しいのが大事ですから!

このアドオンと「Copper」MODの制作における最大の課題/困難を教えてください。
MB:どんなものにも、それを汚されたくないと思っている人がいますし、全ての人を喜ばせることはできませんが、ほぼ全ての人に喜ばれる改善をすることと、昔からの『Quake』ファンを怒らせることとの間で、本当にギリギリの綱渡りをしている気分が消えませんでした。これは「Copper」の“最小限の圧力”という哲学から来たもので、MODがゲームの根幹の調整と後継というよりも、まるで別のゲームのように感じさせるかもしれない大掛かりな変更や追加でなく、多くのプレイバリュー(特に結果とルールの相互作用という形で生まれるバリュー)を加えることができる変更だけを探しました。
SC:『Quake』のエピソード全体で、あらゆる難易度設定(ハードを難しくするよりもイージーをちょうどいい難易度にする方が難しい)において、プレイヤーが利用できるリソースの量のバランスを取ることが本当に難しいと驚きました。シークレットエリアの中にシークレットエリアがある中で、2~4人の協力プレイでもアンバランスにならないように調整しつつ、さらに、どのステージも前のステージのアイテムを使わずにクリアできるという条件を自分たちで決めて苦労しました。


『Quake』コミュニティで好きなMOD制作者またはMOD制作チーム、そして彼らが制作したMODの中でお気に入りのものを教えてください。
SC:まず、「Quaddicted」には感謝しています。Spiritが保守してくれているこのアーカイブがなければ、『Quake』のステージ制作はここまで盛り上がっていないですし、できればこの先もそうであってほしいと願っています!また、SleepwalkRが制作・管理してくれている「Trenchbroom」というエディタも、新しく『Quake』のマップ制作を始める多くのデザイナーにとっては非常にありがたいツールです!
ですが、この質問の答えには、Sockと「Arcane Dimensions」チームを選ばざるをえないでしょう。拡張パックや「Nehahra」、「Rubicon」、「Quoth」といった昔のMODから名作ばかりを選りすぐった超大型の『Quake』MODを作り出すというアイデアもそうですし、ビジュアルとデザインの両方がずば抜けたステージを通じて旧型のエンジンの限界をずっと押し広げている能力も素晴らしいと思います。
MB:『Quake』を語るなら、Simon ‘Sock’ O’Callaghanの話題は外せません。彼は引退したプロのレベルデザイナーで、『Quake』界隈で天下を取るために復帰したのですが、「『Quake』のマップはこうあるべき」や「こんな風にデザインするべき」という錆びついた共通概念を打ち破るステージをリリースし、それを見事に成し遂げました。その後も、海外旅行で得たインスピレーションを活かして新しいテクスチャを作り、何度も驚かされています。そして、彼が制作した「Arcane Dimensions」は、『Quake』と『Quake』に関わるMODやコンテンツをセンス良くまとめた大型コレクションの傑作です。いろいろな人から「今やりたいのはこんな『Quake』なんだ」という声が聞こえてきましたね。

その他に感謝を伝えたい人はいますか?この機会にぜひお願いします。
MB:「SMEJ」と「SMEJ2」、「Dwell」や「The Punishment Due」のチームのように、「Copper」をレベルデザインのためのプラットフォームとして使ってくれた方々にはただ感謝しかありません。もちろん、作品を出すごとに制作の可能性を広げてくれるid Softwareにも感謝しています。他にも、「Fitzquake」という名作を作り、func_msgboardと共に長らく「QBoard」を引っ張ってくれたJohn 'metlslime' Fitzgibbons、そして、ツール、知識、作品を進んで共有し、四半世紀に渡って『Quake』コミュニティという庭に水やりをしてくれた皆さんにも感謝を伝えたいです。
素晴らしい経験や才能、新しいソフトウェアがそれほどまで長いこと蓄積され、しかも無償で利用できるのは、そこに貢献している全員が『Quake』を愛することで報われると感じているからに外なりません。愛情があれば、それだけで十分なんです。
SC:私が働いていたRavenやマディソンにある各スタジオで出会った友人たち、特にFlippfly Gamesの仲間にありがとうと言いたいですね。また、『Quake』のさまざまなオリジナルステージをSNSで広めてくれたTwitterの@Slipseer、ゲームとゲーム開発をより楽しく誰もが受け入れられる場にするために努力している全ての方々、
数えきれないくらいの夜を一緒に過ごしたゲーム友達、ときにのめり込みすぎる私の性格に我慢して付き合ってくれる皆さんにもお礼を言わせてください。そして、25年前に『Quake』を買ってくれて、私が『Quake』のために“小さな部屋”を作った話や、世界中の『Quake』コミュニティで出会い、光栄にも一緒に働けた素晴らしい人たちの話をするのを今でも喜んで聞いてくれる祖母に改めて感謝を伝えたいです。そして、このゲームを生み出してくれたid Softwareにも心からお礼を言わせてください!『Quake』は、間違いなく最高のゲームです。