
Bethesda座談会:ゲーム開発を知る
先日、Arkane Austin開発チームは、Gay Gaming Professionals(以下、GGP)により選ばれたLGBTQIA+の学生との特別座談会を開きました。
した。この記事では、そのハイライトをお届けします。
Gay Gaming Professionalsとその活動に関する詳細はこちらをご覧ください。また、Arkane Austinではチームの一員になってくれる方を募集しています。現在募集中の役職一覧はこちら!
はじめに
Geneva Heyward(GGP – ニューヨーク大学ゲームデザイン専攻4年生):ゲーム開発における初仕事は何でしたか? また、どんな風にそこまでたどり着いたのでしょうか?
Robin Todd(シニアプロデューサー): 私はテキサスA&M大学でコンピューターサイエンスを専攻していて、テキサス大学で修士課程を修めるつもりでした。その申し込みは済ませたのですが、大学の授業料を払うために、夏の間だけのアルバイトを探したんです。
その頃、私が遊んでいた『Ultima』の開発が、ここオースティンにあるOriginという会社で行われていたんです。そこでOriginに問い合わせて、夏のインターンシップに参加すれば、自分の実力を証明するチャンスになると思ったんです。そして大学が始まったら、バイトとして続けるつもりでした。ですが、面接では、プログラミングをしたこともないC++について質問されました。その場しのぎでどんどん答えていったら、なぜか『Wing Commander 3』の作業に採用されることになったんです! それから、退社した人が残していったTurbo C++の本があるとわかり、仕事中にC++を独学で勉強しました。
そのときに「これが自分が本当にやりたいことなんだな」とふと感じたんです。なぜなら、物語が好きなことと、エンジニアとしての素養の両方が活かせる仕事だったからです。結局、大学に戻ることはなかったです。面接でC++の経験をごまかした話を聞いて、Heemが笑っていますね。
Heem Patel(AIエンジニア): 私も初仕事でほぼ同じ経験があったので、思わず笑ってしまいました。でも、面接でC++の経験をでっち上げたわけじゃないですよ?
修士課程の2年目に入って、私はインターンシップを探していました。その頃はどこも決まらなくて、いろいろな所に履歴書を出していました。するとLeapfrogのゲーム開発を請け負っている、ニューヨーク州トロイの小さなスタジオから返事がありました。正直に言って、面接は失敗でした。なんでもない質問にまったく見当違いの答えをしてしまったんです。それなのに、採用が決まりました。そこは本当に小さなスタジオで、面接官だった人は、今でも深い親交がありますが、私の指導役も務めてくれました。
そこで働き始めると、自分の知識がどれだけ少ないのか、そして、大学ではどれだけ思い込みでプロジェクトに取り組んでいたかがなんとなく分かってきたんです。インターンシップは本当に目の覚めるような経験でしたし、業界でしっかり働くためにどんな準備が必要なのかを知るありがたい機会でした。
指導してくれる人がいることは、本当に大切だと思います。どんなに基本的な疑問でも、評価を落とされる心配をせずに質問できますから。「こんなことも知らないなんて、使えない奴だな」と言われる心配は一度もありませんでした。私個人の意見ですが、悪い質問というものはなく、どんな質問も素晴らしい学びの機会だと思っています。
私のように良い指導役と出会えるかどうかは、本当に大切なことです。インターンシップの終わりに、なぜ採用してくれたのか彼に聞きました。彼は私の面接が大失敗だったと気付いていたんです。そして、彼の答えは胸に突き刺さりました。「君は一緒に飲みに行きたいと思える人だったからね。指導を受け入れてくれるタイプだった」と。結局、初めての仕事では、そういう人間になることを目指すわけですね。積極的に学んで成長し、指導を受けいれる人間であるべきです。自分には知識があるとうぬぼれるのは障害にしかなりません。

Karen Segars(アートディレクター): 私はこの業界で働き始めるために、オースティンに引っ越して、さまざまな業界のイベントに参加して、人との出会いを作るようにしました。誰かのデスクに履歴書を届けるよりも、人と面と向かって会うことで前進できることが多いんです。もう一つとても重要なアドバイスとして、今一緒に勉強している他の学生みんなと友達になってみてください。私が最初に就職したとき、大学時代の友人と偶然再会しました。彼は私より一年先輩でした。Autodeskのイベントだったのですが、彼が勤めていたAcclaimという会社が募集しているというので、それが縁で入社できてとても嬉しかったです。あの頃の私は信じられないほど積極的でした。担当の仕事がないときは、他の場所で手伝えることはないかすぐに連絡を取っていたぐらいです。
一緒に働いていた人たちの多くが消極的だったのが理解できませんでした。結局、6週間後に会社は畳むことになりました。そのときは少しガックリしましたが、前向きな姿勢とそのチームの一員であったという喜びで立ち直ることができ、そして、その会社で出会った人たちのおかげで次の仕事が決まりました。これが、本当の意味での業界でのキャリアの始まりでした。それに関われることが本当に嬉しかったんです。ただ嘘偽りない熱意を持って、自分が取り組んでいるプロジェクトのことを考えて、そして仕事を楽しめるようになるまでは本当に長い道のりです。
Kelly Ferry(リードキャンペーンデザイナー): 私が実際に働き始めたのは高校の頃です。ずっとゲームを作りたいと考えていて、物語を書くことも大好きでした。そして、ニューヨークで初めてのインターンシップに入りました。ただのオフィスアシスタントでしたが、憧れていた開発者の人たちと関われて本当に興奮しました。そこではずっと昔からモバイルゲームやソーシャルゲームを開発していました。『Jojo’s Fashion Show』のようなゲームですね。
それから大学まではさまざまな小規模のインターンシップに参加し、大学では執筆とゲーム研究を同時専攻しました。最終的に、デザイナーのコンペに応募して、なぜかそこで賞を獲得し、初めてフルタイムの仕事を得ることことができました。そこからはKarenの話と同じような流れですね。人と知り合って、仕事をもらって、さまざまな人と一緒に働いて、そのつながりで新しい人と出会って、友達を作って、自分の実力を証明して、それを続けていかなければなりません。その輪はどんどん大きくなっていきます。なので、人とのつながりを大事にしながら、常にベストを尽くすことが大事です。
前に進む
Emma Reynolds(南カリフォルニア大学認知科学/消費者行動学専攻4年生):今の場所にたどり着くまでの決断はどうやって下したのでしょうか?専門にしたいことを見つけた方法についても聞きたいです
Heem Patel: いつかはゲームに関わろうと思っていたのですが、何をすることになるかは分かっていませんでした。プログラミングが好きだったので、それで良さそうなものですが、私はなんでもかんでも手を出しました。例えば、「3ds Max」を学びました。具体的には、修士プログラムで6ヵ月の「3ds Max」コースを履修しました。でも、技術系のアーティストにはなりたくなかったし、なんとなくゲームデザインに携わりたかったので、ゲームプレイ関連のプログラミングが向いているんじゃないかと思ったんです。そして、ゲームプレイのプログラミングがとても楽しいということを知って、そこを目指そうと決めました。
Karen Segars: もともとアートが好きで、子供のころは父と一緒に「Movie Magic」という番組を見ていました。当時はアニマトロニクスが主流で、ロボット工学の分野に進みたいとはそこまで思っていなかったのですが、そのロボット工学に彫刻や芸術的な視点を当てはめて、ロボットに生命を吹き込むような仕事をしたいと思っていました。
私が大学生になる頃、ちょうど「ジュラシック・パーク」や「ターミネーター2」など、3Dグラフィックが流行り始めた時期だったので、両親から「3Dを学べる大学なんてどう?」と勧められました。そして、コンピューターアニメーションの学位を取りました。そして、家族がオースティンに引っ越してきて、オースティンのゲーム産業がとても盛んなことをすぐに知って、私もここに引っ越してきて… そんなところでしょうか。環境アートに惹かれて、そこに全力で取り組んでいます。

Robin Todd: 私の経歴はちょっと変わっているかもしれません。面接のとき、「私はエンジニアリングとシナリオライティングの経験があり、今は制作の経験もあります」と伝えていたくらいですから。入社当時、本当はプログラマー志望だったのですが、脚本にも惹かれるものがありました。子供の頃からアニメに夢中だったのですが、自分に絵の才能がないと分かると、次は物語を書くようになったんです。『Wing Commander 3』でゲームフロー担当を任されたとき、私はプレイヤーの選択肢をもとに、その後のゲーム全体に起こることを推定するシステム全般をほぼ一人で書き上げました。
あれは本当に素晴らしい体験でした。そこから自分で会社を立ち上げて2年間は仕事があったのですが、パブリッシャーが倒産してしまったんです。でも、これはよくある話です。そこから『Deus Ex』や『Freelancer』などのゲームのライティングを請け負っているうちに、「本当にプログラミング分野に戻りたいのか」と自問するようになりました。何年も悩んだ末に制作に転向することを決心して、制作の初仕事BioWareの『Star Wars:The Old Republic』でした。
正直なところ、別の分野に進むのは難しいことでしたが、今は天職を見つけられたと感じています。もしくは、帰るべき場所といったところでしょうか。自分のさまざまなスキルを活かせる立場なので、本当に最高の仕事です。プロデューサーは、ある特定の分野での知識は少ないかもしれませんが、大きなプロジェクトをより俯瞰的に見られます。
難しい状況に立たされたり苦渋の決断をすることを差し引いても、自分が一番幸せを感じられる、自分に向いていると思える職業に就いたという実感がありますね。
Kelly Ferry: 私はストーリーを作るのが大好きなんです。物語を書くのはもちろん、本を出版するのも大好きです。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ではモジュールを出したり、ものすごくプレイもしています。ちょっとやりすぎかもしれませんが。私は、ゲームの中で物語をつむいで、その流れをある程度コントロールしたいという気持ちをいつも持っていました。なので、ゲームデザインとシナリオデザインのどちらかを選ぶことになったんです。
結局、最初はゲームデザインをすることになりましたが、副業でライターもやっていたので、両方のいいとこ取りができましたね。前に勤めていたスタジオではシナリオデザイナーに転向して、そこのゲームの物語を少し書いていましたが、そこでデザイナーとしての働き方が合っていると気付いたんです。デザイナーは、あらゆることにちょっとずつ手を出せるからです。アーティストでも、ライターでも、モデラーでもあるんです。ゲームの舞台を支えるあらゆる柱を考えなければならないのですが、私にとってはそれが充実した時間でした。ミッション、ストーリー、ゲーム、キャラクターのすべてを理解することができるんです。だから、自分をライティングに縛ることはせず、いろいろなことに触れられるデザイナーを選びましたし、それが天職だと感じました。
今のArkaneではどんな人材を募集していますか?
Morgan Hamilton(ロチェスター工科大学3Dデジタルデザイン&クリエイティブライティング専攻4年生):新入社員にはどんな能力、意欲、情熱を求めているのでしょうか?
Kelly Ferry: 先ほど、Heemが「指導をすすんで受け入れる」という話をしましたが、これは本当に大事なことです。一緒に仕事をしたい人を見るとき、その人に素質と熱意があるかどうかを気にします。何でも知っている必要はありません。それは教えてあげられることです。私は水の中に放り込まれて、周りの人から「じゃあ泳いでみて」と言われたようなものです。泳ぎ方の半分くらいは覚えました。一緒に働く人たちが、きっと教えてくれます。私は新人が成功する姿を見て、学ぶための力になりたいと思っています。なので、仕事に対する熱意と情熱、そして人柄があれば、良いチームメイトになれるんです。

Karen Segars: 私からは、Kellyの話の補足という形にします。これから面接に出ようというときは、面接先の会社のことをしっかり考えてみてください。これから面接するスタジオについての情報を頭に入れておきましょう。私がいつも大事だと思っていることとしては… そうですね、ヘッドフォンをかけて仕事をすることは自由ですが、自分が関わっているゲームについてちゃんと知っておく必要があることです。そのゲームを遊んでください。ちょっとしたものを作って自分の経歴に箔をつけるのもいいですが、実際にゲームを理解してプレイしてみることが大切です。私たちは常にテストプレイを勧めています。
Harvey Smith(スタジオ/クリエイティブディレクター)とRicardo Bare(クリエイティブディレクター)を含めた数人も、週に2回立ち会っています。こうしてチェックするのは、プレイヤーの最終的な体験を気に掛けているからです。皆さんも同じようにしてみてください。チームで協力し、プロジェクトと自分のチームを気に掛けることが何よりも大切なんです。私が求めるのは、チームの一員になってくれる人です。「こんな仕事があると紹介されたから応募しました」では物足りません。間違っているとは言いませんが、必ずしも期待しているわけではありませんね。
Robin Todd: 私もKarenとKellyと同意見です。技術やデザインといったことは、どれも教えられることです。私が一番求めているのは、自分の仕事に対する熱意や情熱、そして、人と一緒に仕事をしたいという気持ちです。手を差し伸べてコミュニケーションをとり、力を合わせて作品を作ってくれる人を探しています。日々、他のメンバーとコミュニケーションをとりながら、ギブアンドテイクで取り組んでくれる人であれば、心から信頼して一緒に働けると思います。
Harvey Smith(スタジオ/クリエイティブディレクター): これまでの答えは、まったくその通りだと思います。チームワークに長けた人はありがたい存在です。人を見下すのではなく、人を立てる人ですね。批判をしながらも、それが仕事と現状をよく理解できるように批判することが本当に重要です。
いいチームメイトになりそうな人が入ってくるのは嬉しいですね。私の背中を押してくれて、メンツをつぶさずに軌道修正を手伝ってくれるという前提があるおかげで、はっちゃけたことをしたり、ミスをしたりするリスクを冒すことができるんです。
また、いつも言っていることですが、私との面接まで来られた人は、その時点で優秀なプログラマー、アーティスト、レベルデザイナーなど、とにかくそういう人だと想定しています。ですが私は、その枠にとらわれない姿が見たいと思っています。視野を広げることは、本当に自分のためになります。ダンスや建築が好きな人、ひと夏かけてアジアを旅した人、副業で料理をする人、ウェイトリフティングをしていてオリンピックのウェイトリフティングに精通している人、週末にちょっとした木彫りをする人など、さまざまな人がいると思います。いろいろな興味を持つことが、チームに新しい視点をもたらしてくれるんです。
最後になりますが、私は皆さんに有意義な仕事をしてもらいたいと思っています。単なる仕事だとは思ってほしくありません。誇張でなく、私たちは、10年経っても語られるゲームを作っているのです。と言っても、たまに大失敗することもありますが。私は以前、ダメなゲームを作ってクビになったことがありますが、今でも人々が話題にするようなゲームを作ったこともありますし、それはプレイヤーの方々にとっても私にとっても、非常に意味のあることなんです。だからこそ、皆さんは有意義な仕事をすることを志してください。